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執筆者の写真橋本勝彦

恐怖の足音

昨日に続いて昭和のお話し。


僕が高校に入った時のことです。



僕は小学生の頃から大のプロレスファンで

週間プロレスは今でもずっと発売日に買って読んでいます。



プロレスラーになりたかったのですが、

体が大きくならず諦めました。



なので余計に大きな体で戦うレスラーに

憧れていました。



そんな僕は高校で水泳部に入りました。

(パンツ一枚、というところは共通点)



部室は学校のプールの更衣室だったのですが、

プール全体を見渡せる監視室もありました。



監視室は先輩がいつもいましたので体育会独特の

上下関係があり、監視室には最初は近寄れませんでした。



ある時、先輩と話していたら夏になるとOBOGの先輩が

たびたび涼みに、いやいや練習を見に来てくれるらしいのですが

先輩が来ると気が抜けないし「かなり怖い人」がいる、という

うわさも出ていました。



中でも一番は「前田先輩」

とにかく怖いらしいのです。




そんなある日、マネージャーの先輩の手伝いに

プールの監視室に呼ばれました。



中をじっくりと見るのは初めてです。



何気なく室内を見ると壁に大きなポスターが貼ってありました。



僕は頭が混乱してしまって暫く立ちすくんでしまいました。



何故ならそのポスターは

「前田日明」さんだったからです。



前田日明さんは当時も有名なプロレスラー。

しかも記事などから怖いイメージがありました。

(カッコイイもありましたが)



その怖い前田さんのポスターと

怖いOBの前田先輩。



まっまさか!!



やんちゃな僕も190cmの前田選手に本気で怒られることを

考えたら、足がすくみます。




先輩に聞くこともできず、水泳のシーズンに突入し、

連日、厳しい練習をしていました。



ある土曜日。


先輩から

「今日、前田先輩が来るらしいから、お前らシャキッとしとけよ!」という指示が出ました。



えっついに前田日明選手が!!



少しのあこがれと大きなビビリを心に秘めて

泳いでいるとプール再度から声が聞こえてきます。


「先輩、チワッス!」

「お久しぶりです」

「お忙しい中ありがとうございます」



ついにその時が来た、とプールからソッの覗いてみたら・・・




パンチパーマでサングラスをしているおじさんがいました。



冷静に考えたら前田日明さんって大阪出身ですし

水泳ではなくて空手をされていたので

都立高校のOBなわけがないのです(笑)



ただパンチパーマでサングラスをして

竹刀をもってブーツサイドに立つ

前田先輩は別の意味で怖かったです。


(僕は一度も怒られませんでしたが)



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